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RTFM因果応報 - "マニュアル嫁"は何も産まない

By Hiroyuki OYAMA Tue Aug 2 15:11:12 2005

様々な技術系コミュニティで散見する、"マニュアル読め"、"それはFAQ"、"○○を読んでから出直せ"という一言回答。これは誰も幸せにならないばかりか、もしかすると自分自身を不幸にするかもしれない。

まだ決まっていないのですが、とあるイベント用にApacheに関するチュートリアルのシナリオを検討していた。しかしながら最初あまり気が乗りませんでした。それは
  • 別にマニュアルを読めば済むので説明するまでもない
  • 同じテーマで以前他の誰かが既にやっているので新規性が無い
といった背景からだと思います。また、私自身のユルいポリシーで、雑誌記事などを書く際はそこに新しいこと・新しい視点を盛り込んでいないと価値がない、と思っていた事もあります。
しかしながら冷静に周りを見渡してみたところ、
  • 新たにApacheに触れる人は毎年いくらでも発生する
  • そして皆同じような事でハマり・悩む
というケースがあるように感じました。

つまり私が最初感じていた「同じテーマの繰り返しには価値がない」という考えは間違いではないのかと思ったわけです。そして技術系のメーリングリストなどが活気を失い、果てはその技術自体への熱が冷めてしまうのは、こういったある意味排他的な価値観から来るものなのではないのかと思った次第です。
よく言われる事ですが新しい人を発掘・フォローアップしていないと、将来自分を含むコミュニティ自体が不利益を被るわけです。燃料をちゃんと補給していないと最後はガス欠、みたいな。

メーリングリストに見る同様の問題

ちょっと話が飛躍気味かもしれませんが、いわゆる「初心者」を許容しない行為はコミュニティの不利益になりうると考えます。例はいくらでもありますが、
  • 「FAQ的な事をいちいち質問するな」
  • 「マニュアル読んでから質問しろよ」
  • 「質問の仕方がなってない」
等々。これらの一言回答は回答ですらなく、また無意味でむしろ目障りです。
また、「初心者です」といったキーワードに反応して、批判するのも良くないです。うざい気持ちは判りますが、質問した人のバックグラウンドを示す重要な情報の一つと考えるとお互いに必要な情報かもしれません。

私自身が(特に最近は)自分が興味を持ったネタにしか反応していないし、その頻度も下がっている事もあり他人のことを言えたギリはないんですけどね。ちなみに私自身がメーリングリストなどで回答する際に普段意識している事は、
  • 自分の前提条件を示した上で回答する。
  • 回答が正しいか・再現可能かをその都度(極力)検証する。
  • その回答に至る背景・理由や、調査の手順を回答に含める。
  • 自分が判らない事には一切答えない :-)
とかです。いつも全部できてるわけではなく手抜きも多々あります。ただ、これらを意識する事によって、
  • 質問した人の(次の|他の)理解をより深める事ができる。と信じている。
  • 自分自身の理解・知識の整理に役立つ。
  • 説明の訓練として役立つ。
  • 話を一発で終わらせる事ができる。と信じている。
と思っています。もちろんコストはかかりますし、報われない事、外している場合もあります。それ以上に自分が考えているメリットなど本当はないのかもしれません。
ですが、自分自身がその製品、またはインターネットに初めて触れた頃、様々な"人"に助けられた事を思い出すと、自分もそうするのが妥当であると考えます。やってないけど(オィ)

また普段から感じているのですが、プログラミング言語やソフトウェアを取り扱う場合、固有の文化や、実装上・ドキュメンテーション上の癖はすぐには理解できません。場合にってはドキュメントの場所・閲覧方法が判らない事もあるはずです。
JavaはWebでドキュメント漁る(JavaDoc)のが普通だなんて、最初知りませんでしたし何時からできた風習なんでしょう。
Perlにある程度なれるとperldocコマンドを読めば殆どが事足ります。ですが"ある程度"に至らないうちにそうできるかと問われれば疑問です。
PHPのPEARとかは未だにドキュメントの漁りかたが判らないし、PHP自体の日本語と英語のドキュメントの情報量が大きく異なる場合がある事もよく見ないと判りません。みんな作法や常識が違うんです。
もちろん数をこなす事で癖を見抜く訓練はできるとは思います。しかしながら、その癖が見えないと挫折することが多いと感じています。

いろいろ文句が続いてしまいましたが

ここで言わんとする所は、「初心者」のフォローアップを「放棄」していると、結果的に新しいメンバーが増えないばかりか、市場における"熱"が冷めてしまうのではないかという事です。その状況で「上級者」や「ベテラン」は人材不足に苦しむだけにとどまらず、そのアドバンテージを失い、自分自身の相対的な価値を下げる事になる。手抜きの応対をして後々苦しむのは他の誰でもない自分自身なのではないかと。

まぁ、「いくらなんでもこりゃヒデェな」とか「聞く前に試せよ...」とか「ぐっ、本格的に意図が読み取れねぇ!」とか「金とるぞコンチクショウ!」とかイッパイありますけどねー。結局将来の自分への投資として、意識を変えて実践しないといかんのかもなぁ、というワケ。どこまでできるか謎ですが。
もっというと、インターネットに現れない(見えない)エキスパートは幾らでも居てるので、気にしなくても良いのかもしれませんけどね(ダメじゃん)
きっと、こういう事言ってるからモヒカン族になれないんだろうな。(ってなりたいのかよ)

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